健康や美容に幅広く利用されている炭酸。
そのなかでも古くから愛され親しまれているのが温泉(炭酸泉)です。
炭酸泉の効能
炭酸泉には血管を拡張して血液の循環をよくする効果があるので、低温でもポカポカと温まります。
このような特徴を活かし、高血圧・動脈硬化などの改善に温泉療法が取り入れられています。
そのほかにも、冷え症の改善、疲労回復、痛みの緩和、肩こり・腰痛・神経痛など、痛みの緩和に良いとされています。
ヨーロッパでは古くから「心臓の湯」と言われており、循環器系疾患をはじめ、様々な病気の治療や症状の改善・リハビリなど医療目的で炭酸泉が活用されています。ドイツでは健康保険が適用されています。
また、お肌にとっても多くのプラスの効果があります。
炭酸泉に溶けている炭酸ガスが皮膚から毛細血管へと入っていき血管を拡張させる事に加えて、炭酸ガス(二酸化炭素)が血中ヘモグロビンから酸素を切り離し(ボーア効果)、よりたくさんの酸素を肌細胞に供給するというわけです。
炭酸入浴はこの体の自然なメカニズムを利用しており、健康や美肌効果を上げるのに有効だと言うわけです。
炭酸泉の種類
地中から湧出してくる温泉(鉱泉)には、様々な物質が溶存しています。
それら物質のうち、温泉法によって定められた特定の18種類の物質の、温泉1kgあたりの溶存量および総溶存量によって泉質の分類が定められています。
また療養泉(鉱泉のうち、特に治療の目的に供しうるもの)の掲示用泉質名は、以下の11分類があります。
単純温泉溶存物質量(ガス性物質を除く)1g/kg未満かつ湯温が摂氏25度以上のもの |
1.単純温泉 |
塩類泉溶存物質量(ガス性物質を除く)1g/kg以上含有するもの(温度不問) |
2.二酸化炭素泉 3.炭酸水素塩泉 4.塩化物泉 5.硫酸塩泉 |
特殊成分を含む療養泉指定された特殊成分を一定の値以上に含むもの(温度不問) |
6.含鉄泉 7.含アルミニウム泉 8.含銅-鉄泉 9.硫黄泉 10.酸性泉 11.放射能泉 |
一般に炭酸泉と呼ばれている温泉・鉱泉は1キログラム中に遊離炭酸を1グラム以上含み、主に”二酸化炭素泉”(※旧泉質名は単純炭酸泉)にあたります。
「二酸化炭素泉」炭酸泉は炭酸ガス成分が溶けていて、小さな気泡が出ているために「泡の湯」や俗称として「ラムネの湯」とも一部で呼ばれています。
また、分類上”炭酸水素塩泉”や”含鉄泉”であっても、炭酸ガス(二酸化炭素)が含まれるものがあり、二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の泉質を併せ持つ温泉も存在します。
世界の炭酸泉
ヨーロッパの温泉では、炭酸泉が主流になっています。
日本よりも炭酸泉が多い背景には、ヨーロッパの地層が石灰岩層のため、地下水に炭酸が溶け込みやすいことなどが考えられます。
代表的な温泉地として有名なドイツのバーデン・バーデンはその昔、権力者であったハプスブルグ家御用達の保養地でした。
マリア・テレジアをはじめとする多くの皇族が休暇を過ごしたと伝えられています。
今でも、皮膚疾患や外傷、リウマチ、痛風、神経痛などさまざまな疾患に対して効能があると毎年多くの人が療養に訪れています。
日本の炭酸泉
日本は世界の中でも温泉大国と呼ばれ、泉質もたくさんの種類があります。
しかし、天然の炭酸泉(二酸化炭素泉)の数は少なく貴重なものとなっており、交通網の整わない山間部等に存在する等、秘湯と呼ばれる炭酸泉もあります。
有名なところでは「日本一の炭酸泉」との呼び声が高い大分県の長湯温泉
日本書紀にもその名が記されているという日本最古の名湯有馬温泉
などが挙げられます。
天然の炭酸泉は希少な物ですが近年では遊離炭酸を発生させる装置等の導入により、「人工炭酸泉」を目玉とするスーパー銭湯などの施設も増加しています。
人口炭酸泉が体験できる施設検索
外部サイト:三菱レイヨン・クリンスイ株式会社
さいごに
その健康と美容への効果から古くより愛されてきた炭酸泉、名湯・秘湯と呼ばれる天然温泉から手軽な人口炭酸泉まで、疲れた時はぜひ炭酸泉につかって身も心も癒されてみてはいかがでしょうか。