炭酸はいつから作られ、取り入れられてきたのでしょうか。
ここでは炭酸の歴史を読み解いてみたいと思います。
炭酸飲料のヒストリー
今でこそなじみの深い炭酸飲料。子供から大人まで幅広い年齢層に親しまれています。
炭酸ガスを含む飲料は、古代ローマ時代に天然の炭酸鉱泉を飲用したことが始まりだと言われています。ヨーロッパでは今でも多くの天然炭酸泉が存在することからも想像に難くないでしょう。炭酸鉱泉は普通の水とは異なり、健康の増進に役立つと考えられ、心臓病を患う人たちを中心に飲まれていました。
世界で初めて炭酸含有の飲料を作ったのは、あのクレオパトラだという伝説があります。真珠をワインの中に入れるとワインの酸と真珠の炭酸カルシウムが反応して炭酸ガスが発生し、今でいうシャンパンに似た飲み物が出来上がったと言われています。美容と不老長寿のために飲んだと伝えられていますが、真偽のほどは定かではありません。絶世の美女といわれたクレオパトラらしいエピソードです。
クレオパトラの炭酸水伝説から相当の時間が流れて1770年、イギリス自然哲学者のジョセフ・プリストリー氏が炭酸飲料水の製造方法を発見し、大航海時代の壊血病の対策として船員に炭酸水の作り方を伝授しました。(壊血病にビタミンCが効くとはっきり判明したのは20世紀に入ってからで、当時は炭酸水が効果があると考えられていたのです。)
その後、炭酸水の大量生産が可能になり、ヨーロッパやアメリカで広まりました。
医療分野での歴史も長い炭酸
炭酸は医療分野においても長い歴史があります。例えばドイツは世界一の炭酸泉国と言われるほど天然炭酸泉が多く存在し、古くから炭酸泉の働きを利用したさまざまな研究や治療が行われてきました。炭酸泉を「心臓の湯」と呼ぶ程、炭酸泉の治療施設などさまざまな研究所が設置され、日々治療や研究がさかんに行われています。血流の改善による代謝促進など、炭酸の働きが科学的に証明されるにつれて人口炭酸泉装置の開発も進み、医療分野でも急速に炭酸が普及し始めます。
更に美容分野へ
人工炭酸泉は代替医療として病院やリハビリテーション施設で積極的に使用されていました。しかし近年では治療だけにとどまらず、スポーツジムやリラクゼーション施設などの美容健康分野にまで取り入れられています。オリンピック時には炭酸泉の入浴装置を選手村に設置するなど、疲労回復の鍵として炭酸の健康効果が注目を浴びました。
美容分野でも、炭酸ガスを封入したジェルパックや炭酸ガスで噴霧する洗顔フォームなどが開発されメディアで話題となり、2010年頃「炭酸美容ブーム」が起こりました。この流れをきっかけに一般的に炭酸の効果が広く認知されるようになりました。
炭酸コスメの種類と用途について
最後に
古代ローマ時代から人々に取り入れられていた炭酸。時代に応じて形を変えながらも、常に炭酸は私たちの健康と美容に貢献してきたと言えます。炭酸効果の科学的根拠がはっきりしない時代から親しまれていたという歴史はとても興味深く、ますます炭酸の奥深さに魅了されてしまいますね。